抄録
著者らはCO2レーザーを出力別および照射モード別に牛歯エナメル粉末へ照射し,FT-IR ならびにエックス線回折を行い,照射出力や温度の影響による結晶学的な検討を行った。1 .FT-IR スペクトルの吸光度比の比較から1W 照射では,いずれの照射モードにおいても約800℃程度まで温度が上昇していた。3W ではCW モードは800℃~1000℃まで上昇し,SP 1 モードとSP 2 モードは1200℃以上まで上昇していることが示唆された。5W 照射ではSP 1 モード,SP 2 モード,CW モードの順で上昇温度が高く,いずれの照射モードにおいても1200℃以上まで上昇していることが明らかとなった。2 .レーザー照射後の試験粉のSEM 像は,1W では平坦な構造物の表面に大小さまざまな微粒子が見受けられた。3W では1W と比較して析出物のサイズが大きく,かつ凹凸が少ない像が確認された。5W ではいずれの照射モードにおいても表面状態は溶融しており,ほとんど大きな差は無く,全体的に滑沢な表面が見受けられた。3 .エックス線回折から1W および3W 照射ではα-TCP のピークも確認された。5W 照射においては,CW, SP 1 およびSP 2 モードのどの照射モードにおいてもα-TCP とTTCP のピークが確認された。