小児歯科学雑誌
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原著
Free View を用いた小児の顔の見方における性格と年齢の関係について
大野 裕美下岡 正八田中 聖至
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2009 年 47 巻 3 号 p. 471-481

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抄録

現在著者らは,小児の性格の違いで視知覚による情報探索の仕方に違いがあるか,非接触型眼球運動測定装置Free View を用いて研究している。今回は,各性格群(依存群,標準群,自立群)と各年齢群(7 歳未満:A 群,7 歳以上10 歳未満:B 群,10 歳以上13 歳未満:C 群)との間で見方の違いを詳細に検討した結果,性格と年齢の関係について,以下の結論を得た。1 .性格群別でみると,依存群,標準群では年齢による見方の差を認めないが,自立群において増齢的に目,鼻,口といった顔の諸部分への停留点の分布,サッケードは増加傾向にあった。2 .年齢別でみると,A 群,B 群では性格的な見方の差を認めないが,C 群では自立群の見方と,依存群,標準群の見方が違う傾向にあった。3 .C 群では自立群において依存群,標準群と比較して,外観や背景への停留回数,停留時間は減少傾向にあった。以上のことから,小児の顔の見方には性格と年齢とがともに影響しており,特に10 歳を過ぎる小児の対応において,成人と同様の配慮の必要性が示唆された。

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© 2009 日本小児歯科学会
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