小児歯科学雑誌
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原著
乳歯列小児における齲蝕関連要因間の相関性
荒井 千鶴巻口 あゆみ田中 光郎
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2009 年 47 巻 4 号 p. 594-599

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抄録

齲蝕治療後の定期診査時に収集した様々な齲蝕関連要因についてのデータを集積分析し,小児歯科臨床において注目すべき要因を明らかにするため,その相互の相関性について検討を行った。乳歯列期の73 名を対象とし,一連の齲蝕治療後にカリエスリスクテストを行い,17 項目の齲蝕関連因子(食事内容,飲食回数,間食時の食べ物,間食時の飲み物,プラーク量,プラーク中及び唾液中ミュータンスレンサ球菌(SM),乳酸桿菌(LB),刺激唾液量,唾液緩衝能,フッ化物応用,兄弟の有無,歯磨き回数,仕上げ磨きの有無,歯磨きスタイル,フロスの使用,キシリトールの利用)を数値化し統計処理を行った。様々な因子項目と齲蝕感受性(dmft)との関連や,プラーク量と歯口清掃項目との関連,刺激唾液量及び唾液緩衝能と年齢との関連を検討するにあたっては,Spearman の順位相関係数で検定を行い,さらに,齲蝕経験の有無により各因子に差があるか否か,フッ化物使用の有無と齲蝕感受性との間に関連があるか否かをMannWhitney 検定で検討した。その結果,齲蝕経験レベル(齲蝕経験指数/年齢)と有意な相関を認めたのはプラーク中及び唾液中SM,プラーク量,飲食回数,食事内容であり,齲蝕経験の有無による比較では,これらに加えLB,キシリトールに有意差が認められた。一方,プラーク量と歯口清掃項目との間に関連性は認められなかった。また,刺激唾液量と唾液緩衝能は年齢と共に増加していた。

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© 2009 日本小児歯科学会
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