小児歯科学雑誌
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総説
外傷を受けた幼若永久歯の処置と歯内療法
宮新 美智世
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2009 年 47 巻 5 号 p. 700-709

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抄録

歯は外力を受けると歯髄や歯周組織が短時間に損傷される。すなわち,歯髄には,露髄部や破折,亀裂から,また断裂した歯根膜を通して,刺激と細菌が到達し,歯髄炎や歯髄壊死を生じさせる場合がある。 また,受傷歯は何らかの脱臼性の損傷をともなうため,歯髄に出血や虚血など循環障害を生じている危険性がある。幼若永久歯が受傷した場合の歯内療法においては,可能な限り歯髄を保存するよう努力がなされてきたが,ひとたび歯髄を失った場合,未完成な歯はさらに脆弱な状態に陥り,歯冠―歯根破折の危険性が高まるため,接着性レジンを用いた修復や咬合への配慮が欠かせない。他方で,進行性歯根吸収の一部や,感染を伴う歯根破折には,外科的歯内療法が有用であった。このような小児独特の高い治癒力を活かすためには,適切な経過管理による異常の早期発見・早期治療と,応急処置と予防法についての広報活動が大切であると思われた。

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© 2009 日本小児歯科学会
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