小児歯科学雑誌
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原著
幼児期の顔面軟組織の三次元形態解析
2.幅径と高径について
西嶋 奈緒美深水 篤岩崎 智憲武元 嘉彦窪田 直子稲田 絵美井形 紀子奥 猛志齋藤 一誠早崎 治明山﨑 要一
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2009 年 47 巻 5 号 p. 726-731

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抄録
顔面の形態は歯科だけでなく,人体寸法・形状という観点からも関心が持たれている。しかし,小児を対象とした近年の報告は限られており,特に幼児に関する報告は見当たらない。そこで,本研究はレーザー型三次元非接触型デジタイザを用い,鹿児島市のT 保育園・幼稚園に通園する健康な4~6 歳の幼児(年齢毎に男女各20 名:計120 名)の顔面形態を計測し,成長に伴う変化と性差について横断的検討を行なった。計測項目は幅径として,外眼角幅径,内眼角幅径,鼻翼外側間幅径,口裂幅径の4 個,高径として,鼻部高径,上顔面高径,口裂高径,顔面高径,下顔面高径,赤唇高径の6 個を設定した。全体として,増齢的に幅径・高径が増加する傾向を認めた。しかし,5 歳と6 歳の年齢間には多くの計測項目において有意な差を認めたものの,4 歳と5 歳の年齢間では女児の2 項目だけに有意差を認めたことから,この2 年間においても1 年毎に成長量が異なることが示唆された。幅径の計測項目は,頭蓋に近い,より上方の計測項目ほど成人に近い値を示した。年齢毎に行なった性差の検定では,3 つの年齢における,それぞれ10 個の計測項目,計30 項目の中で5 個の項目において有意差を認めたが,一定の傾向は見られなかった。 以上より,幼児の顔面は全体として成長していく中で,その量は年齢,性別,部位のそれぞれにおいて特徴があることが示唆された。
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© 2009 日本小児歯科学会
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