抄録
広島県下の中学1 年生の1 クラス34 名を対象に学校の歯科保健教育においてカリエス・リスク検査を用いた場合,経費や要する時間,マンパワーの点から実施可能の可否を検討し,続いて齲蝕予防に関わる生徒のmotivation の向上に関する教育効果を評価した。この結果,学校教育現場で唾液検査を実施する場合,スタッフ教育を充実させ検査時間の短縮を図ること,検査項目を唾液分泌速度,MS(Saliva)と唾液緩衝能の3 項目にすることが示唆された。唾液検査の実施には自己負担も必要となることから,検査結果を利用した歯科保健指導を充実させ,生徒や保護者に検査の有効性の理解を得ることが示された。唾液検査後の調査結果から女子では家庭と十分な連携を取って歯科保健教育を進めること,男子では学校教育を利用して知識や歯科保健に関心を向けさせる必要が示唆された。