小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
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総説
スペシャルニーズのある子どもたちへの歯科医療
白川 哲夫
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2010 年 48 巻 6 号 p. 659-666

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抄録

スペシャルニーズのある子どもたち,といえば,一般には明らかな発達の遅れや身体障害があってさまざまな支援を必要としている子どもたちのことをいい,「障がい児」とほぼ同義と考えてよい。一方,歯科治療をスムースに,また的確に行えるか否かという基準で考えると,「障がい児」の範疇に含まれなくても,本人,あるいは養育者に対して特別な配慮や対応をしなくてはならないケースがしばしばある。小児歯科の臨床においては「健常児」と「障がい児」という区分よりも,「特別な対応」をどの程度必要としているのかによって診療の中身を検討し,振り向けるエネルギーやマンパワーを見積もるのが適切のように思われる。もちろん障害が重度であればあるほど,おおむねそれに比例して「特別な対応」の必要性も高くなり,医療の質を維持する上でより多くの知識と経験が求められる。本総説は,第48 回日本小児歯科学会学術大会での「宿題報告」の内容を基に,スペシャルニーズのある子どもたちに今日的な歯科医療を提供するうえでの留意点と,歯科麻酔医や小児科医,療育の分野で障がい児と関わりの深い職種との連携について,今後の展望を含めて述べさせていただいた。

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© 2010 日本小児歯科学会
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