小児歯科学雑誌
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原著
混合歯列期小児における齲蝕関連要因間の相関性
荒井 千鶴巻口 あゆみ高橋 雅斎藤 亮田中 光郎
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2010 年 48 巻 6 号 p. 667-672

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抄録

小児歯科臨床において注目すべき,齲蝕と関連する要因を明らかにすることを目的として,齲蝕治療後の定期健診時に収集した様々な因子についてのデータと齲蝕との相関性について検討を行ってきた。前回,乳歯列期小児についての調査を行い,齲蝕経験と有意に相関がある要因として,プラーク中および唾液中のミュータンスレンサ球菌(SM)量,プラーク量,飲食回数,食事内容,唾液中の乳酸桿菌(LB)量,キシリトール利用の頻度が挙げられた。今回,混合歯列期を対象として同様な調査を行い,第一大臼歯の萌出,年齢の増加がどのように影響を与えるのかを乳歯列期との比較において検討した。その結果,齲蝕経験に最も相関がある因子は,乳歯列期同様,混合歯列期においてもSM 量であった。プラーク量と相関がある因子は,乳歯列期と同様にSM 量が重要であったが,混合歯列期では,それに加えて,飲食回数,仕上げ磨きの有無で相関が認められた。フッ化物応用に関しては,乳歯列期と同様に,フッ化物の種類が増しても齲蝕抑制効果に影響は認められなかった。また,乳歯列期では年齢と共に刺激唾液量,唾液緩衝能は増加していたが,混合歯列期においては年齢との相関は認められなかった。第一大臼歯の齲蝕発生に関しては,SM との相関は認められず,仕上げ磨き,寝かせ磨きの有無のみに相関があったことは,保護者による仕上げ磨きを推奨する年齢を考える上で参考になるデータであった。

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© 2010 日本小児歯科学会
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