小児歯科学雑誌
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原著
小児の成長発達と全身機能に関する研究
咬合能力,運動能力と重心動揺の関連性について
玄 松玉
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2010 年 48 巻 6 号 p. 681-688

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抄録

小児期における咬合能力と全身機能の関連性を把握することは口腔機能を健全に管理するうえで重要である。本研究により,小児の咬合能力,運動能力,土踏まず形成および重心動揺の関連性について調べた。保育園児225 名(3~5 歳)を対象とし,身長と体重および土踏まず形成,咬合接触面積と咬合力,運動能力(ソフトボール投げ,立ち幅跳び,25 m 走,開眼片足立ち)と重心動揺総距離と総面積の測定を行った。各年齢群で咬合力の上位群25%と下位群25%の運動能力および重心動揺を比較した。また,重心動揺の安定群25%と不安定群25%の運動能力および咬合能力を比較した。さらに,土踏まず形成群と未形成群の咬合能力,運動能力と重心動揺を比較した。以上より以下の結論を得た。1 .各年齢群で咬合力上位群が下位群より重心動揺の値が小さかった。5 歳児では咬合力上位群のほうがソフトボール投げの値が有意に大きかった。2 .各年齢群で重心動揺安定群が不安定群より開眼片足立ちの値が大きく,3 歳児では有意差が認められた。3, 5 歳児では重心動揺安定群のほうが咬合能力の値が有意に大きかった。3 .3 歳児の土踏まず形成群は未形成群より咬合能力の値が大きく,重心動揺の値が小さかった。4, 5 歳児では土踏まず形成群のほうが咬合能力と運動能力の値が大きく,5 歳児では重心動揺の総距離が有意に少なかった。

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© 2010 日本小児歯科学会
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