小児歯科学雑誌
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原著
Streptococcus mutans に対する ブドウ酒搾り粕抽出成分の抑制効果
大原 紫吉村 剛小西 俊成光畑 智恵子香西 克之
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2011 年 49 巻 3 号 p. 251-258

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抄録

近年の健康に対する意識の向上に伴い,薬理作用のある天然素材を応用することに関心が高まっている。歯科領域でも,齲蝕抑制などの機能性を持つ素材について研究が行われ,特に齲蝕の主たる原因菌であるStreptococcus mutans については,菌に対する特異的な抑制法が注目されている。今回我々は,生理活性物質が多く含まれるブドウ,特にブドウ酒搾り粕(パミス)に着目し,パミスから生理活性物質を抽出した。そして,S. mutans に対するglucosyltransferase(GTase)阻害活性,増殖抑制活性の測定を行った。さらに,パミスに含まれる生理活性物質の組成および構造を明らかにし,パミスの齲蝕抑制物質の可能性を検討した。測定の結果,パミス抽出物はGTase 阻害活性およびS. mutans の増殖抑制効果を有していた。また成分解析によって,トリテルペンの一種であるオレアノール酸が精製前のパミスエタノール抽出画分では10%,強い活性が確認された精製画分では90%の比率で含まれていることが明らかになった。これらの結果から,パミス抽出物は含有するオレアノール酸の濃度によって非水溶性グルカン合成阻害やS.mutans の増殖抑制などの活性を発揮することが考えられた。そのため,パミス抽出物の齲蝕抑制物質としての可能性が示唆された。

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© 2011 日本小児歯科学会
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