抄録
本研究は,乳児期の口蓋形態の特徴を明らかにする目的で,無歯期における成長変化を,1−2 か月群,3−4 か月群および5 か月以上群の3 群に分け検討し,また授乳方法が口蓋形態に及ぼす影響について,レーザーを応用した非接触型三次元計測装置を用いて検討した。その結果,長径では切歯乳頭部と歯槽弓最大幅径として表される左右歯槽頂上の点間の口蓋前方部に有意な増大がみられ,幅径では乳犬歯歯槽部遠心壁の左右歯槽頂上の点間,歯槽弓の最大幅径として表される歯槽頂上の点間,および上記2 線上の近遠心的中間部の点間においても有意な増大がみられた。口蓋の深さや口蓋内表面積では,3 群間で差は認められなかった。吸啜窩の出現は全体で70.3%であり,3 群間で差はなく,また吸啜窩幅径も無歯期では成長による変化はなかった。母乳,ほ乳瓶,混合乳の授乳方法により,歯槽弓および口蓋形態に及ぼす影響は認められなかった。以上より,無歯期での歯槽弓および口蓋形態の変化には,口蓋前方部の成長が長径・幅径とも大きく,乳前歯の成長と骨内萌出とが関係していることが示唆された。しかし,授乳方法による口蓋形態への影響は認められなかった。