小児歯科学雑誌
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原著
妊婦の口腔の健康に対する意識調査
第1報産科併設歯科で行ったアンケートからの報告
島野 侑子丘 久恵古河 真理子藤岡 万里井上 美津子
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2012 年 50 巻 3 号 p. 229-236

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抄録
本研究では,妊婦教室を受講した妊婦182 名が,自分自身や生まれてくる子どもの口腔の健康に対し,どのような意識をもっているかについてアンケート調査を行った。対象者の年齢は30 代が半数を占め,出産歴数は0(第1 子)が多くを占めた。現在の体調については「良好」が半数を占め,喫煙経験の有無は「あり」が約3 割で,喫煙経験者の現在の状況は2 名がまだ「喫煙中」であった。現在の歯磨きの状態は「問題なし」が約9 割を占め,歯磨きできないときの行動は「水でうがい」が最も多かった。何かのときに相談できる歯科の有無は「あり」が約7 割であった。生まれてくる子どもの口腔の健康に対して心配なことの有無では「まだわからない」が多くを占めるものの,心配な内容は「歯並び」,「むし歯」,「かみ合わせ」の順で多かった。出産後の母乳育児への意志は「ある」が約9 割を占め,「出来る限り母乳を飲ませたい」と希望するものが多かった。胎児の発育や出産に影響を及ぼすとされる喫煙,飲酒と早産,低体重児出産の関係については「知っている」が多かった。また,齲蝕原性菌の母子伝播に関しても「知っている」と答えた者が多かった。妊婦へ口腔を含めた健康に対する意識を高めることにより,妊婦自身だけでなく,出産後の母子の健康につながることを,妊婦に明確に示したうえで,指導,アドバイスを行っていく必要があることが示唆された。
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© 2012 日本小児歯科学会
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