小児歯科学雑誌
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原著
カンボジア王国シェムリアップ州の郊外と市内の小児齲蝕と生活環境の実態
岩崎 浩水谷 智宏中山 聡宮沢 裕夫
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2012 年 50 巻 3 号 p. 218-228

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抄録
カンボジア・シェムリアップ州の郊外と市内の3 歳,5 歳および12 歳の合計1174 人を対象に口腔内診察とアンケート調査を実施した。調査票を集計し,齲蝕罹患状況と生活環境との関連について検討を行った。1 .齲蝕罹患状況に郊外と市内の明確な差は認められなかった。2 .齲蝕罹患者率は3 歳95.5%,5 歳99.0%,12 歳97.3%,dft とDMFT は3 歳dft=9.2, 5 歳dft=12.3, 12歳DMFT=5.8 であり,日本に比べ高い値を示した。一方,処置歯率は各年齢ともに低い値を示し,齲蝕処置が実施されていない現状が把握できた。3 .間食は齲蝕に関わる甘味類が多く,子どもや保護者に対しては齲蝕誘発性について歯科保健教育が必要と考えられた。4 .保護者に対する歯科保健教育と子どもに対する適切な刷掃指導を行うことにより齲蝕の低減が期待でき,歯科疾患予防システムの構築につながることが示唆された。
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© 2012 日本小児歯科学会
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