小児歯科学雑誌
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原著
DIAGNOdent penによる隣接面齲蝕診断の有用性
デジタルエックス線画像との比較
田中 裕子岩﨑 真紀子今井 和希子江島 堅一郎髙森 一乗白川 哲夫
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2012 年 50 巻 5 号 p. 423-429

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抄録

DIAGNOdent pen(KaVo, Germany,以下pen とする)は,平滑面,小窩裂溝に加え,隣接面用プローブも備えていることより,隣接面齲蝕診断が可能とされている。その特徴より,小児への応用が期待されるが,乳歯および幼若永久歯を対象とした報告は少ない。そこで,乳歯および幼若永久歯の隣接面齲蝕診断への本装置の有効性を明らかにするため,デジタルエックス線画像から計測した隣接面齲蝕深さとpen の測定値とを比較し,両者の関係について検討した。対象は小児18 名で,隣接面にCO からC2 の齲蝕を認める乳歯56 歯69 歯面,および幼若永久歯39 歯54歯面とした。測定は,対象歯を歯面清掃後,簡易防湿を行い,5 秒以上エアーで乾燥させた状態でpen 隣接面用プローブ表面と隣接歯面が並行となるように歯間にプローブを挿入した。また同部位のデジタルエックス線を撮影し,その画像をディスプレイ上で拡大し,健在なエナメル質および象牙質の濃淡を参考に齲蝕病巣最深部を決定し,エナメル質表層から齲蝕の最深部まで垂線を引いて,その直線距離を齲蝕深さとした。乳歯および幼若永久歯隣接面齲蝕におけるpen の測定値とデジタルエックス線画像の齲蝕深さとのSpearman 相関係数は,乳歯が0.82,幼若永久歯が0.78 であり,ともに統計学的に有意な相関関係が認められた。以上の結果より,本装置が乳歯および幼若永久歯における隣接面齲蝕の進行状態を把握するうえで有用性が高いことが示された。

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© 2012 日本小児歯科学会
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