小児歯科学雑誌
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臨床
先天歯に関連したエプーリスの3例
波多野 宏美三宅 真帆松崎 祐樹星山 紘子荻原 栄和内川 喜盛
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キーワード: 先天歯, エプーリス, 乳児
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2013 年 51 巻 1 号 p. 36-42

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抄録
先天歯に関連して生じたエプーリスの報告は少なく,その発生頻度はまれである。今回我々は,下顎乳中切歯相当部の先天歯の抜去とエプーリスの切除後にエプーリスが再発した1 例,先天歯の抜去後にエプーリスを生じた1 例,出生時に先天歯とエプーリスを共に認めた1 例を経験したので報告する。本報告では,3 例すべてにおいて動揺や出血のため先天歯は抜去され,その後歯肉の腫瘤を認めた。エックス線検査では3 例とも腫瘤部に硬組織と思われる不透過像を認め,腫瘤は硬組織を含めて切除した。病理組織検査の結果から,いずれも骨組織の形成が確認され,病理組織学的診断では骨形成性エプーリスであった。これは,抜去した先天歯の歯乳頭あるいはその下方の組織の一部が残存し,炎症性反応と共に膠原線維の増生をきたし,エプーリスと骨形成が生じたものと推察された。深部の硬固物を一塊に切除した場合,その後再発は無く経過は良好であった。以上のことから,先天歯の自然脱落あるいは抜去に至った場合は,エプーリスの形成も踏まえて予後観察と保護者への説明が重要であり,先天歯に関連したエプーリス切除の際には,下方の残存組織を含めて確実に切除することが肝要であると考えられた。
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© 2013 日本小児歯科学会
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