小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
51 巻 , 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 徳永 有一郎, 中野 崇, 加藤 一夫, 福田 理
    2013 年 51 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    表面改質型酸反応性無機ガラスフィラー(以下S-PRG フィラー)を0, 5, 10, 20, 30 wt%含有した歯科矯正用レジンのフッ化物の徐放能,およびフッ化物のリチャージ能について検討した。1 日目から5 日目まで,各試料を3ml の蒸留水に浸漬し,24 時間毎に蒸留水中に溶出したフッ化物濃度を定量した。6 日目から10 日目は1,000 ppm フッ化物溶液に8 時間浸漬した後,蒸留水に16 時間浸漬し,溶出したフッ化物濃度を定量した。11 日目から15 日目はリチャージを中止し,24 時間毎に蒸留水中に溶出したフッ化物濃度を定量した。また,実験前後での表面構造を確認するため,フィールドエミッション型電子線マイクロアナライザー(以下EPMA)を用いて表面構造の観察を行った。本研究により以下の結論を得た。1 .リチャージの有無にかかわらず,フッ化物の徐放量は,S-PRG フィラー含有率が高い程多く,5wt%と20 wt%および30 wt%間,10 wt%と30 wt%間に有意差が認められた。2 .S-PRG フィラー5wt%,または10 wt%,20 wt%含有試料では,フッ化物のリチャージを繰り返すことで,フッ化物の徐放量が有意に減少したが,30 wt%含有した試料では徐放量に有意な低下は認められなかった。3 .実験開始前と終了時での試料の組成像では,レジン重合部にはS-PRG フィラーはレジン内に均一に存在したが,部分的にはフィラー凝集体も確認された。実験後の試料表層部でのフィラーの脱落,崩壊などは認められなかった。
  • 松田 貴絵, 竜 佑宗, 下村─黒木 淳子
    2013 年 51 巻 1 号 p. 8-20
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    小児の活動範囲は時代と共に日々変化しており,同時に外傷にも多様化がみられ,口腔外傷を主訴に小児歯科外来を受診する患児は増加傾向を示している。我々は,平成20 年から平成23 年までの4 年間で,本院小児歯科診療室に口腔外傷を主訴に初診来院した小児を対象として調査を行い,検討を行った。1 .乳歯では1~3 歳に,永久歯では7~11 歳に,軟組織では1~4 歳に多く,男児の方が女児より多い傾向が認められた。2 .50%以上の患児が受傷当日に来院した。3 .乳歯,永久歯および軟組織のいずれにおいても午後の受傷が多く認められた。4 .乳歯,永久歯,および軟組織のいずれの受傷においても受傷原因は転倒が最も多かった。5 .乳歯,永久歯ともに上顎前歯部の受傷が最も多かった。6 .再受傷した症例は,乳歯で12.3%,永久歯では21.6%であった。7 .受傷様式は,乳歯では脱臼が多く,永久歯では歯冠破折が多く認められた。8 .軟組織の受傷は上下口唇に多かった。9 .歯牙外傷の初診時の対応は,乳歯では経過観察が多く,永久歯では歯冠修復や歯内療法が多い傾向を認めた。
  • 林 文子, 光畑 智恵子, 有木 美早, 大元 聡子, 平田 涼子, 三宅 奈美, 中岡 美由紀, 太刀掛 銘子, 海原 康孝, 大原 紫, ...
    2013 年 51 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    2009 年度に本院小児歯科を受診した知的障害児(者)を対象に,歯科治療の実態調査を行い,2004年度における当科の実態1)と比較し,以下の結果を得た。1 .2009 年度に来院した知的障害児(者)数は315 名(男児208 名,女児107 名),延べ1,646 名であった。これは当科延べ来院患児(者)総数の13.4%であり,2004 年度(8.6%)と比較し増加した。2 .年齢分布は7 歳から12 歳が38.1%と最も多く,次いで13 歳から18 歳が23.5%であり,2004 年度と近似していた。3 .患児(者)の障害の種類は,自閉症が42.5%で最も多く,次いで精神発達遅滞が25.7%,Down 症候群10.2%,脳性麻痺9.8%であった。2004 年度と比較し精神発達遅滞の占める割合が低かった。4 .診療内容は歯石除去が25.9%,成形修復18.7%,歯科衛生実地指導16.7%であった。2004 年度と比較し,歯髄処置が増加した。5 .対象者の60.3%に対し何らかの体動コントロールを行っていた。2004 年度(50.7%)と比較し有意に増加した(p<0.05)。
臨床
  • 深瀬 直子, 小平 裕恵, 守安 克也, 朝田 芳信
    2013 年 51 巻 1 号 p. 28-35
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    顎骨にみられる単純性骨嚢胞は10 歳以前に発生することは稀とされている。今回,7 歳男児の下顎骨に発生した単純性骨嚢胞の1 例を経験したので概要を報告する。患児は7 歳時に齲蝕診査のために撮影した下顎左側乳臼歯部の根尖投影法エックス線写真で,偶然に単純性骨嚢胞が発見された。パノラマエックス線写真では,歯根未完成の左側第二小臼歯の直下に広範なエックス線透過像が認められた。病理組織診断も兼ねて開窓処置を局所麻酔下にて行った。開窓後3 か月では,下顎骨の透過像は縮小傾向が認められた。処置後6 か月より,上顎の萌出余地不足の改善のために側方拡大装置および下顎乳臼歯早期喪失部の保隙のために可撤保隙装置を装着し咬合誘導を行った。処置1 年後,エックス線透過像の縮小がみられ,嚢胞内に骨の新生が認められた。処置9 年後では,顎骨内にわずかな透過像は残存していたが,臨床所見やエックス線写真所見では嚢胞の再発の兆候はみられなかった。形成障害,萌出遅延,萌出位置異常などの永久歯の発育障害もなく,正常な永久歯列を獲得した。本症例は単純性骨嚢胞を早期に発見し適切に対応したことにより,永久歯の発育障害を回避でき,正常な永久歯列を育成し得たものと考える。
  • 波多野 宏美, 三宅 真帆, 松崎 祐樹, 星山 紘子, 荻原 栄和, 内川 喜盛
    2013 年 51 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2013/03/25
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    先天歯に関連して生じたエプーリスの報告は少なく,その発生頻度はまれである。今回我々は,下顎乳中切歯相当部の先天歯の抜去とエプーリスの切除後にエプーリスが再発した1 例,先天歯の抜去後にエプーリスを生じた1 例,出生時に先天歯とエプーリスを共に認めた1 例を経験したので報告する。本報告では,3 例すべてにおいて動揺や出血のため先天歯は抜去され,その後歯肉の腫瘤を認めた。エックス線検査では3 例とも腫瘤部に硬組織と思われる不透過像を認め,腫瘤は硬組織を含めて切除した。病理組織検査の結果から,いずれも骨組織の形成が確認され,病理組織学的診断では骨形成性エプーリスであった。これは,抜去した先天歯の歯乳頭あるいはその下方の組織の一部が残存し,炎症性反応と共に膠原線維の増生をきたし,エプーリスと骨形成が生じたものと推察された。深部の硬固物を一塊に切除した場合,その後再発は無く経過は良好であった。以上のことから,先天歯の自然脱落あるいは抜去に至った場合は,エプーリスの形成も踏まえて予後観察と保護者への説明が重要であり,先天歯に関連したエプーリス切除の際には,下方の残存組織を含めて確実に切除することが肝要であると考えられた。
feedback
Top