小児歯科学雑誌
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臨床
小児舌背に発生した平滑筋腫性過誤腫の1例
高木 愼駒井 正昭樋口 満田村 博宣矢部 孝
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2013 年 51 巻 4 号 p. 456-460

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抄録

平成18 年12 月28 日7 歳7 か月,女児が舌背の違和感を主訴に来院した。舌背正中後方部に直径17mm 大,扁平な隆起で,弾性軟,表面は正常粘膜色を呈し,無痛性の腫瘤を認めた。造影MRI は施行していないため,血行は不明だが,線維成分に富む良性疾患が考えられた。良性腫瘍の臨床診断にて,1 年7 か月経過観察した後,平成20 年8 月25 日(9 歳2 か月)全身麻酔下に腫瘍切除術を行った。腫瘍周囲に2mmの安全域をとり切開線を加え,深部は一層筋層を含め1 塊として切除した。切除組織の病理組織所見は,腫瘍表層は正常な扁平上皮組織で覆われ,上皮直下に膠原線維および平滑筋線維の造成を認めた。免疫組織学的所見では,病変の主体となる細胞がα-smooth muscle actin に陽性で,平滑筋細胞と考えられ,病理組織学的診断は平滑筋腫性過誤腫とした。約3 年後(12 歳2 か月)の経過観察でも異常は認めなかったが,今後とも長期に経過観察予定である。

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© 2013 日本小児歯科学会
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