小児歯科学雑誌
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原著
乳臼歯の隣接面を含む複雑窩洞におけるコンポジットレジン修復に関する研究
窩洞形態と充填方法
猪狩 道代岡田 英俊島村 和宏
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2014 年 52 巻 1 号 p. 12-25

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抄録

乳臼歯隣接面複雑窩洞に対するコンポジットレジン修復時の窩洞条件,使用レジンと充填操作の選択条件を検索する目的で本研究を行った。乳臼歯を想定した代用人工歯を用い,歯肉側壁の幅を1mmまたは2mm,辺縁形態にストレート,フレアー,リバースカーブ状を付与した6 種類の窩洞を設定した。レジンはペースト型と2 種類のフロアブル型を使用した。それぞれのレジンを単一充填した試料と下層にフロアブル型,上層にペースト型を充填した試料を作製した。各試料の辺縁と移行部に圧縮試験を行い,比較検討した。その結果,以下の結論を得た。1 .全ての条件で圧縮強さが辺縁で低く,移行部よりも辺縁破折の可能性が高かった。2 .辺縁破折を防ぐには,レジンおよび歯質辺縁が薄くならないよう辺縁にリバースカーブを付与し,露髄を避けて可及的に広い歯肉側壁の設定が望まれた。3 .辺縁が外開きになった場合,歯肉側壁が狭い窩洞は強度不足となる可能性があった。4 .辺縁が外開きとなった場合,歯肉側壁を広めにとるか圧縮強度の高い材料の単一充填が,辺縁破折防止に寄与すると示唆された。5 .フロアブル型レジン上にペースト型レジンを充填する手法は,臨床上強度向上に効果的であると考えられた。以上の結果から,乳臼歯隣接面複雑窩洞では辺縁形態と窩洞側壁の幅に対する配慮,使用するレジンの組み合わせにより修復後の予後に影響することが示唆された。

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© 2014 日本小児歯科学会
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