小児歯科学雑誌
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原著
試作フッ素系ナノシール剤の耐酸性の向上に関する研究
柏村 晴子
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2014 年 52 巻 1 号 p. 26-37

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抄録

我々は,カルシウムフルオロアルミノシリケート粉末混濁液とリン酸水溶液の2 液からなるフッ素系ナノシール剤(以下ナノシール剤)を試作し本剤の粒子沈着効果を利用した耐酸性効果を明らかにすることを目的として,人歯を用いAPF 製剤との比較研究を行った。耐酸性能の評価には,QLF とFE-SEM を用い,人工齲蝕エナメル質と健全エナメル質の耐酸性能の検討を行った。1.QLFを用いた耐酸性能評価において,人工的初期齲蝕および健全エナメル質の双方でナノシール剤はコントロール群よりも高い耐酸性能を示した。2 .人工的初期齲蝕におけるFE-SEM 観察において,APF ゲルおよびAPF 液群では,薬剤塗布直後と脱灰72時間後を比較すると,一部の表面に脱灰の進行が認められた。これに対して,ナノシール剤群では,脱灰処理前後もエナメル質表層に大きな差はみられなかった。3 .健全エナメル質表面に沈着したナノ粒子析出物は,FE-SEM 観察においてエナメル質表層へ緊密な被覆が確認された。4 .健全エナメル質において行われた,塗布・脱灰を繰り返した実験でも,ナノシール剤は安定した耐酸性能を示した。以上より,本剤は,新たな齲蝕予防剤としての使用が期待できると考えられた。

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© 2014 日本小児歯科学会
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