抄録
近年,小児の齲蝕は減少しているといわれているが,齲蝕処置を希望して大学病院小児歯科を受診する低年齢児は少なくない。地域医療と連携しながら,患者のニーズにあった歯科治療を提供する立場にある大学病院として,低年齢児の齲蝕の実態を把握することは重要である。そこで,平成22 年1 月から平成24年12 月までの3 年間に,東京歯科大学水道橋病院小児歯科を受診した3 歳未満の初診患者のうち,齲蝕処置を希望し,実際に治療を行った117 名について齲蝕罹患状況を調査し,以下の結論を得た。1 .受診した小児の76.9%は東京23 区内に居住していた。85.5%が1 歳半以上の小児であった。2 .齲蝕症第二度(C2)あるいは齲蝕症第三度(C3)を有する小児が同数で,全体の約40%ずつ存在した。1 歳半未満ではC3 の割合が11.8%であったが,1 歳半以上2 歳未満では39.4%,2 歳以上では約半数と,1 歳半以降にC3 を有する小児の割合が高くなった。3 .dmf 歯率50%以上の小児が全体の約4 分の1 を占めていた。dmf 歯率が高い小児は齲蝕の程度も重症化する傾向にあった。4 .紹介により来院した小児は,全体の約6 割であった。齲蝕症第一度(C1)およびC2 の小児では,半数以上が紹介なしで来院していたのに対し,C3 以上の小児では,約8 割が紹介で来院していた。5 .1 歳半で卒乳していない小児の齲蝕は卒乳していた小児に比べ重症化し,更にdmf 歯率も高くなる傾向があった。