小児歯科学雑誌
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原著
歯科大学病院小児歯科における初診患者の実態調査
岩田 美奈子小鹿 裕子浦野 絢子荒井 亮山頭 亜里沙隝田 みゆき辻野 啓一郎櫻井 敦朗大多和 由美新谷 誠康山下 秀一郎
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2014 年 52 巻 1 号 p. 47-53

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抄録

少子高齢化社会となった現在,都心に位置する大学病院小児歯科の役割にも大きな変化があると考えられる。そこで,平成22 年1 月から平成24 年12 月までの3 年間に本学水道橋病院小児歯科外来に初診来院した小児1,816 名について,来院時年齢,来院動機,居住地域,紹介の有無を調査した(平成24 年の調査)。そして,約15 年前に当科で実施した3 年間の調査(平成10 年の調査)と比較・検討し,以下の結論を得た。1 .16 歳未満の初診患者数は平成10 年の調査(849 名)と比較し,著しく増加していた。さらに,紹介により来院した小児も52.6%で,平成10 年の調査の27.9%から著しく増加していた。2 .年齢別にみると4 歳と7 歳が多く,それぞれ全体の10.1%を占めていた。患者の居住地域は東京23 区内が多かった(72.1%)。3 .来院動機は齲蝕治療が最も多く,全体の35.8%を占めていた。歯数異常は11.0%,歯列不正,外傷はそれぞれ10.9%であった。来院動機によって小児の年齢層がはっきり分かれ,齲蝕治療のピークは3 歳から4 歳であった。外傷は1 歳および2 歳が多く,6 歳以降は歯列・咬合に関するものが多かった。4 .受診年齢や来院動機などの全体的な来院状況の傾向は,平成10 年の調査と類似していた。5 .患者数や紹介数の著しい増加から,都心の大学病院小児歯科の専門的な診断や治療は,保護者のみならず地域連携歯科医からも求められていることが示唆された。

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© 2014 日本小児歯科学会
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