小児歯科学雑誌
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原著
乳歯および永久歯歯髄組織由来間葉系幹細胞の特性の比較
佐藤 桃子石田 千晶岩佐 聡子武井 浩樹本田 雅規白川 哲夫
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2014 年 52 巻 3 号 p. 417-424

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抄録

間葉系幹細胞(以下,MSCs)は自己複製能及び多分化能を有し,近年では臨床応用に向けた様々な研究が行われている。その細胞源として,高い増殖能及び多分化能を有し,比較的容易に入手できる歯髄幹細胞(以下,DPSCs)が期待されている。今回我々は抜去した乳歯及び永久歯から得られたDPSCs について,コロニー形成能,細胞増殖能,遺伝子発現及び表面抗原の発現について比較検討した。便宜抜去のために抜歯された乳歯及び永久歯から無菌的に歯髄組織を採取し,実験に用いた。乳歯歯髄組織由来間葉系幹細胞(以下,DDPSCs)及び永久歯歯髄組織由来間葉系幹細胞(以下,PDPSCs)の特性を比較したところ,コロニー形成能,細胞増殖能,遺伝子発現,細胞表面抗原の発現において両者は類似していた。一方,骨芽細胞への分化能に関してはDDPSCs の方が高い結果を示した。これらのことより,DDPSCs とPDPSCs は細胞増殖能,コロニー形成能,多分化能等多くの類似した特性を有し,いずれも再生医療の細胞源として有用であることが明らかになった。またDPPSCs は骨再生等の臨床応用により適していることが示唆された。

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© 2014 日本小児歯科学会
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