2014 年 52 巻 3 号 p. 433-439
幼児期の齲蝕予防には家庭での保護者による仕上げみがき(介助みがき)は不可欠であるが,自閉症児は様々な理由により仕上げみがきが困難であるとされている。そこで本研究では,その実態を明らかにするため,保護者へのアンケートにより4~5 歳の就学前自閉症児40 名と定型発達児56 名の歯みがき習慣,仕上げみがき時の不協力行動の表出状態を調査し,両群間の相違について検討し,以下の結果を得た。1 .自閉症児の歯みがきでは,すべての自閉症児の保護者が仕上げみがきを行っていた。2 .保護者が仕上げみがきを「困難」と回答したものの割合は,自閉症児群45.0%,定型発達児群10.6%と仕上げみがきが困難なものは自閉症児に多く定型発達児と比較して有意に高い割合を示した(p <0.01)。3 .仕上げみがき時に表出される不協力行動があるものの割合は,自閉症児95.0%,定型発達児44.7%と自閉症児が有意に高い割合を示した(p<0.01)。4 .仕上げみがき時の不協力行動別の表出者率では「歯ブラシを噛んでしまう」「歯ブラシを入れさせてくれない」「泣いたり暴れたりして抵抗する」の項目で,自閉症児が定型発達児と比較して有意に高い割合を示した(p<0.01)。5 .自閉症児における仕上げみがきの困難群は,容易群に比べて「泣いたり暴れたりして抵抗する」ものの割合が有意に高かった(p<0.01)。