抄録
小児患者の外部行動表出による簡略的な行動評価法を確立する一環として,3 歳から9 歳の健常男児113 名および健常女児111 名,計224 名を対象とし,Frankl's Behavior Rating Scale と黒須項目による観察結果を比較検討したところ,以下の結果を得た。1 .Frankl 分類の結果について,最も出現率の高かったのはClass 3 であった。2 .黒須項目による観察結果ついて,最も出現率の高かった測定項目は【顔をしかめる】であった。【四肢】および【音声】の出現率は年齢との負の相関が認められた。出現率の高かった項目はClass 1 ならびにClass 2 では低年齢児であったことに対し,Class 3 では比較的高年齢児であった。3 .Frankl 分類と黒須項目による観察結果の関連性について,黒須項目の17 測定項目に関連性が認められた。また,【顔・目】は3 歳で3 項目の出現を認め,3 歳以外では6 歳の1 項目のみであった。【四肢】は3 歳で最も多い5 項目の出現を認めた。【音声】は5 歳で最も少ない2 項目となるものの,3 歳から6 歳までは徐々に増える傾向にあった。以上のように,Frankl 分類に対する詳細かつ客観的な具体像を年齢別に抽出することが可能であった。また,同じハイリスク児の外部行動表出も年齢によって意味が異なる事が示唆され,その点を十分に考慮して臨床を行う必要があると思われた。