小児歯科学雑誌
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原著
妊婦の口腔健康に対する意識調査
第3報 妊娠後期でのアンケートからの報告
古河 真理子丘 久恵島野 侑子藤岡 万里井上 美津子
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2014 年 52 巻 4 号 p. 531-539

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抄録

出産が近づく妊娠後期になると自身や生まれてくる子どもの口腔健康に対する妊婦の意識がどのように変化するか等を調査する目的で,産科併設歯科の後期マザークラス(妊娠後期を対象)を受講した妊婦147名にアンケート調査を行い,妊娠初期・中期を対象とした第2 報と比較し検討した。また前期マザークラスの受講の有無による比較,検討も行った。結果として,前回より「現在の歯磨きの状態は問題なし」が増え,「何かの時に相談できる歯科あり」も増えていた。また前期マザークラス受講者の方が「相談できる歯科あり」と答えた者が多かった。「生まれてくる子どもの口腔健康に対して心配なこと」で「歯の磨き方」が前回より増えたのは,出産が現実味を帯び育児を考える中で,子どもの歯磨きも意識するようになったことが原因であると推測された。「歯周病,喫煙,飲酒と早産,低体重児出産との関係」,「齲蝕原性菌の母子伝播」についても「知っている」が増えており,前期マザークラス受講者の方が「知っている」と答えた者が多かった。以上より,妊婦は妊娠の時期により,またマザークラス受講の有無によって,口腔健康や出産後の育児についての意識が変わりうることが認められた。そのため妊婦への口腔健康の支援指導は,妊娠の時期に応じて行うことや,また歯科からの情報を多くの場面で発信することの必要性が示唆された。

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© 2014 日本小児歯科学会
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