心拍変動解析は,簡便な操作で侵襲もなく,自律神経機能の評価が可能である。不協力な小児や障害者に対して歯科診療を行う場合,精神的,身体的ストレス負荷により,呼吸や循環動態に影響を及ぼす可能性がある。循環動態は自律神経系を介して調節されているため,自律神経機能をモニターすることは安全な歯科診療のために有意義と考えられる。また,自律神経機能の評価はストレス評価の方法としても確立されている。しかし,診療中に体動が起こりうる患者では心拍変動解析に必要な心電図波形の乱れにより解析が不可能となる可能性がある。そこで,本研究は,体動下および体動コントロール下において自律神経機能の評価を行う場合の適切な電極装着方法をボランティアで検討し,検討した方法で不協力児,障害児の診療中の自律神経機能評価を行い,適切な方法であるか確認することを目的とした。
成人ボランティアで6 種類の電極装着方法を検討した。体幹にシール型電極を装着すると自律神経機能の評価可能な割合は84.0%以上であった。またレストレーナーⓇ抑制下では体幹にシール型電極を装着すると成人ボランティアでは66.5%以上,小児ボランティアでは92.3%が評価可能であった。実際の患者に対する診療中も同様の方法で90.1%,97.7%と高い割合で評価可能であった。
以上より,心拍変動解析を用いた自律神経機能評価を行う場合にはシール型電極を体幹に貼付することで継続的な評価が行えることが認められた。