2015 年 53 巻 3 号 p. 414-420
地域医療との連携を推進する大学病院は,地域社会が求める医療を迅速かつ正確に提供する義務があり,そのためには患者の来院動機や状況について常に把握しておく必要がある。そこで,平成22 年1 月から平成24 年12 月までの3 年間に本院小児歯科外来に初めて来院した小児1,816 名のうち,歯の外傷を主訴に来院した192 名(乳歯238 歯,永久歯107 歯)について,年齢,性別,来院までの日数,紹介の有無,受傷原因,受傷状態,受傷歯種,初診時の対応について調査を行い,以下の結果を得た。
1 .受傷時年齢は2 歳が最も多く,2 歳以下の低年齢児で全体の44%を占めていた。
2 .性別は乳歯,永久歯ともに男児に多かった。
3 .来院までの日数は,乳歯,永久歯ともに当日の来院は少なく,2~7 日後が多かった。
4 .乳歯では74%が,永久歯では54%が他院からの紹介により来院していた。
5 .受傷原因は,乳歯,永久歯ともに約半数が転倒であった。
6 .受傷状態は,乳歯では脱臼が58%と最も多く,永久歯では歯冠破折が41%と最も多かった。
7 .受傷歯は,乳歯では上顎乳中切歯が69%で最も多く,永久歯では上顎中切歯が60%で最も多かった。
8 .初診時の対応は,乳歯,永久歯ともに経過観察が最も多かった。
以上の結果から,小児の歯の外傷を統計的にみると,過去の調査結果と大きな変化がないことがわかった。しかしながら,位置異常を伴わない不完全脱臼の割合が高いこと,初診時の対応として経過観察が最も多いことは,近年は軽度の外傷であっても受診する患児が増えている事を示唆している。また,一次医療機関からの紹介は確実に増加しており,地域社会からの都心歯科大学病院小児歯科の専門的な知識や技術がよりいっそう求められていると考えられる。