小児歯科学雑誌
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原著
在宅人工呼吸器を使用する重症心身障害児に対する訪問歯科診療についての検討
髙井 理人大島 昇平中村 光一八若 保孝
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2017 年 55 巻 3 号 p. 382-389

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抄録

人工呼吸器や経管栄養といった高度な医療を必要としながら在宅で生活する重症心身障害児(以下,重症児)は増加しており,在宅医療の拡充が必要とされている。しかしながら,重症児に対する訪問歯科診療はまだ十分に普及していない。そこで,本研究は重症児に対する訪問歯科診療の実態を調査し,その有効性を検討することを目的とした。

平成27年4月から平成28年12月までの期間に当院で訪問歯科診療を実施した在宅人工呼吸器を使用する重症児27名(男性11名,女性16名)について,患者背景,口腔内状況,口腔機能,訪問歯科診療での対応について診療録より調査を行った。対象者の平均年齢は4.7±4.0歳,全員が複数の医療的ケアを必要とする超重症児,準超重症児であった。呼吸管理方法は気管切開人工呼吸器19名,鼻マスク式人工呼吸器8名であり,栄養管理方法は胃瘻22名,経鼻胃管4名,経口摂取1名であった。歯石沈着や歯肉炎を有する児が多く,また口腔機能不全を示す児が多かった。訪問歯科診療での対応では口腔清掃指導や摂食機能療法を中心としたが,乳歯抜去という外科的処置も行った。在宅で実施困難な診療内容については病院歯科との連携が必要であった。在宅人工呼吸器を使用する重症児においては歯科受診経験のない児や歯科受診を中断した児が多かったが,訪問歯科診療で継続的な口腔管理を行うことが可能であり,訪問歯科診療は受診手段として有効であることが示唆された。

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© 2017 日本小児歯科学会
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