小児歯科学雑誌
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臨床
Lesch­-Nyhan症候群患児における自傷行為の対応に苦慮した1例
三科 祐美子高橋 俊智島村 和宏
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2017 年 55 巻 3 号 p. 397-402

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抄録

Lesch-­Nyhan症候群は,X連鎖劣性遺伝形式を示すプリン代謝異常を呈する疾患である。高尿酸血症,精神発達遅滞,不随意運動,自傷行為などが主症状である。今回,Lesch­-Nyhan症候群の男児に対して,口唇への自傷行為防止に苦慮した一例を経験したので報告する。

患児は初診時年齢1歳9か月の男児で,下唇正中赤唇部は咬傷による組織欠損が認められた。歯ぎしりや食いしばりも頻繁に行っていたため,4歳までに右側下顎乳側切歯および乳犬歯は保存不可能となった。歯ぎしり防止のためにソフトタイプとハードタイプのマウスガードを併用することで患児のストレス軽減を図った。マウスガード装着は継続できたが,上顎歯列の開大により頬粘膜の咬傷が認められるようになった。現在,ハードタイプマウスガードの装着に慣れ大きな欠損を伴う自傷行為には至っていないが,今後,注意深い経過観察が必要である。

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© 2017 日本小児歯科学会
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