2018 年 56 巻 1 号 p. 12-18
著者らは平成22年7月より,小児歯科外来内に発達期摂食嚥下障害専門外来(以下,もぐもぐ外来)を開設し摂食指導を行ってきた。開設から平成28年3月までの5年8か月の間にもぐもぐ外来を初診で来院した18歳未満の患児を対象として初診時の実態を把握し,評価するために臨床統計的検討を実施した。初診患児数は,男児112名,女児82名,計194名であった。年齢分布は,0歳0か月から17歳11か月で,平均は3歳9か月(男児4歳1か月,女児3歳7か月)であった。医療機関別紹介患児数は歯科以外の医療機関が約50%を占めたが,離島など遠隔地の医療機関からの紹介は1%に留まった。受診患児の20%以上は低出生体重児として,あるいは早産児として出生しており,定型発達児と比較し,粗大運動の発達が未熟であった。摂食嚥下障害を認める患児に対しては,医療機関や教育機関,施設との緊密な連携を図り,より多くの患児に対して早期介入が可能となる体制の構築が必要である。小児歯科医は,顎顔面領域の形態と摂食嚥下機能が著しく発達する小児患児に密接に関わっており,摂食嚥下機能獲得と形態発育を円滑に促すという極めて重要な役割を担っている。