小児歯科学雑誌
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原著
小児歯科患者の治療に対する協力状態の推移について
大塚 愛美菊池 元宏下山 哲夫朝田 芳信
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2018 年 56 巻 1 号 p. 65-72

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抄録

著者らは本院小児歯科外来に初診来院した,2歳から9歳の定型発達男児147名ならびに定型発達女児108名を対象に,初来院時から4回目の診療までの協力状態を評価し,治療の進行による協力型の推移について検討したところ,以下の結論を得た。

1.各年齢における記録時期別のFrankl分類について,最も多かったFrankl分類は,合計では1回目から4回目の全ての記録時期でClass 3であり,最も少なかったのは,Class 1であった。また,総じて年齢が上がるにつれてClass 1とClass 2は減少する傾向にあった。

2.Class 1とClass 2を【不適応型】,Class 3とClass 4を【適応型】として2群に分けた際,3歳児において記録時期に独立性を認めた。また,3歳を境に【適応型】と【不適応型】の大小関係が逆転した。

3.各年齢における協力型の推移について,最も多かった協力型の推移は,全体として(2­9歳)の合計では【適応継続型】,2歳児ならびに3歳児では【不適応継続型】,4歳児から9歳児では【適応継続型】であった。

また,【適応継続型】は2歳児と3歳児で有意に少なかったものの,6歳児から9歳児で有意に多かった。【適応獲得型】は2歳児で有意に少なかったものの,3歳児で有意に多かった。【不安定型】は4歳児ならびに5歳児で,【適応喪失型】は4歳児で有意に多かった。

以上のように,2歳児ではいかなる治療時期であっても協力型は低く,3歳では当初こそ協力型が低いものの,治療回数を重ねることによって協力型が増し,4歳児以降ではむしろ当初より協力型が高く,学童期に入れば協力型に関する問題はほぼ解決することが示唆された。

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© 2018 日本小児歯科学会
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