小児歯科学雑誌
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原著
小児歯科における口腔内スキャナーの有用性
村井 雄司疋田 一洋富田 侑希小橋 美里蓑輪 映里佳ISLAM Syed Taufiqul溝口 到齊藤 正人
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2018 年 56 巻 3 号 p. 367-374

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抄録

小児歯科において,低年齢時であっても不正咬合を診断するために,印象採得および歯列模型を作製し,歯列咬合を分析することで,現在の咬合を把握し,さらに将来の歯列や咬合の推測を行う必要がある。 しかし,従来のアルジネート印象材による印象採得では,歯科治療経験の少ない小児では抵抗を示すことが多く,精神的負担を与える。 近年,歯科医学において矯正歯科領域や歯冠補綴領域では口腔内スキャナーによる光学印象が導入されているが,小児歯科領域では広く普及していない。 本研究は小児に対し,従来のアルジネート印象と,口腔内スキャナーを使用した光学印象を行い,得られた歯冠形態のデータの比較やアンケート調査の結果から,小児歯科領域での有用性の検討を行った。 その結果,歯冠近遠心幅径はアルジネート印象により作製した歯列模型の測定値と光学印象による口腔内の実測値には有意差は認められなかった。またアンケート調査から,光学印象はアルジネート印象と比べ不快感を認めず,すべての被験者が今後は光学印象を希望するという結果が得られた。 以上から,小児歯科領域における歯列咬合分析では,口腔内スキャナーを用いた光学印象は有用であることが示唆された。

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© 2018 日本小児歯科学会
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