小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
原著
附属病院小児歯科における口腔外傷を主訴とした初診患者の実態調査
宮山 友紀白瀬 敏臣亀岡 亮芦澤 みなみ三宅 真帆村松 健司楊 秀慶梅津 糸由子内川 喜盛
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 56 巻 3 号 p. 375-383

詳細
抄録

都心に位置する附属病院小児歯科における小児の口腔外傷を調査し,高次医療機関として今後の治療指針を明確にすることを目的として,2011 年4 月から2016 年3 月までの5 年間に口腔外傷を主訴として当科に初診で来院した437 名について実態調査を行った。

1 .口腔外傷を主訴に来院した患児は初診患者の11.0%を占めていた。

2 .性別は乳歯が男児186 名(59.2%),女児128 名(40.8%),永久歯が男児61 名(69.3%),女児27 名(30.7%)で,男児に多かった。

3 .初診時年齢は乳歯では2 歳(21.5%),1 歳(19.7%),3 歳(15.3%)の順に多く,永久歯では8 歳(5.3 %)で多かった。

4 .紹介の有無は紹介ありが267 名(61.1%),紹介なしが170 名(38.9%)であった。

5 .受傷歯数は乳歯が506 歯(76.7%),永久歯は154 歯(23.3%),歯の受傷のない者は33 例であった。

6 .受傷様式は乳歯では脱臼性損傷が377 歯(62.9%),破折性損傷は166 歯(27.7%),変色が56 歯(9.3 %)であった。乳歯の動揺,埋入,歯冠破折,変色は2 歳が,転位は1 歳が最も多い一方で,歯根破折は 4 歳までは年齢とともに増加していた。永久歯では脱臼性損傷が111 歯(61.0%),破折性損傷は70 歯(38.5%)であった。

7 .初診時の対応は乳歯,永久歯ともに経過観察が多く,埋入と変色でその割合が高かった。また,永久歯では初診時の抜歯は1 例もなかった。

今回の調査結果から,大学附属病院では低年齢児の紹介患者が多く,より専門的な対応が求められていることが示唆された。

著者関連情報
© 2018 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top