大阪府某市立予防歯科センターでは,口腔疾患予防活動が45年以上継続して行われている。現在の受診幼児の口腔実態を把握する目的で,2016年4月から2017年3月までの期間に,歯科検診に参加した小児の検診記録から,全ての乳歯が萌出した児の年齢,性別,齲蝕罹患状態,フロスの使用状況,歯間空隙の有無,および咬合状態の項目について転記し,集計・分析を行った。
対象児は2歳69人,3歳80人,4歳74人,5歳50人の計273人(男児155人,女児118人)であった。
齲蝕有病者率は,2歳0.0%,3歳3.8%,4歳6.8%,5歳8.0%で,dft指数は2歳0.00,3歳0.04,4歳0.11,5歳0.28であり,全国平均より低く,特に4・5歳は著しく低いことが認められた。フロス使用率は,2歳33.3%,3歳51.3%,4歳59.5%,5歳62.0%であった。
フロス使用児の使用頻度は,「たまに」,「毎日」,「週に数回」の順で多かった。また,齲蝕罹患児は4・5歳ではフロスを100%使用しており,無齲蝕児の使用率も増齢につれて増えていた。閉鎖型歯列は全体の45.0%に認められ,2・3歳の53.8~56.5%から4・5歳の32.4~34.0%に減少していた。
正常咬合は,すべての年齢で最も高く,2~4歳で42.5~48.6%,5歳で64.0%であった。不正咬合では,過蓋咬合が最も多く,2歳39.1%,3歳41.3%,4歳32.4%,5歳20.0%と4歳以降に減少傾向を示した。
一方,切端咬合は経年的に増加し,5歳児は10.0%であった。