小児歯科学雑誌
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臨床
兄に3本,弟に2本の過剰歯が生じた一卵性双生児の1兄弟例
立花 太陽村本 知歌子浅香 有希子河村 良彦佐野 哲文折原 莉紗渡邊 淳一佐野 正之
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2018 年 56 巻 4 号 p. 460-465

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抄録

過剰歯の発生頻度は1­5%であり,上顎正中部に好発する。これまでの報告をみると,一卵性双生児において本数の違う過剰歯が発現することは比較的稀である。今回我々は,本数の違う過剰歯を有する一卵性双生児1兄弟例を経験したので報告する。

6歳0か月の一卵性双生児の男児1組。兄の歯が1本多いことを主訴に来院し,その2日後に弟が来院した。パノラマエックス線写真より上顎正中部に兄は3本,弟は2本の過剰歯を認めた。上顎埋伏過剰歯と診断し,摘出することとした。患児の協力度を考慮して年齢が高くなってから手術をすることも検討されたが,兄弟ともに逆性の埋伏過剰歯が認められたため,早期の摘出が望ましいと考えられた。6歳3か月時に笑気吸入鎮静法で局所麻酔下にて摘出した。術後の経過は良好である。

一卵性双生児の類似性に関して,遺伝・環境的要因が大きく影響していると考えられてきた。本例における過剰歯の数や形,位置や方向の相違には,遺伝・環境的要因だけでなくエピジェネティクスな要因も影響していると考えられた。

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© 2018 日本小児歯科学会
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