小児歯科学雑誌
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総説
SspA/B由来ペプチドを用いたStreptococcus mutansのバイオフィルム抑制効果の検討
伊藤 龍朗
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2019 年 57 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

初期定着菌であるStreptococcus gordoniiは菌体表層に発現しているSspA/Bを介し,ペリクルへと付着する。SspA/BはStreptococcus mutansの付着因子PAcと高い配列類似性を示しており,S.gordoniiとS.mutansはペリクルへの付着に対して競合関係にある。本研究ではこの関係性に着目し,SspA/B由来ペプチドSsp(A4K­A11K)がS.mutansの初期付着およびバイオフィルム形成に与える影響を解析した。Ssp(A4K­ A11K)はヒト唾液に高い結合能を示し,ペリクルへのS.mutansの付着を抑制した。また,Ssp(A4K­A11 K)処理群ではS.mutansのバイオフィルム抑制が認められた。口腔レンサ球菌4菌種間の比較において,これらの抑制効果はS.mutansへの選択性が高く,常在細菌への影響という懸念事項を解消した。更にSsp(A4K­A11K)処理群の培養液は,対照群と比較して有意に高いpHを示し,臨界pHへの低下を遅延させた。以上よりSsp(A4K­A11K)を用いた本研究は,齲蝕原性バイオフィルムの新規制御法として有用である可能性を示した。

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© 2019 日本小児歯科学会
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