小児がん患者の口腔状態を明らかにする目的で,小児がん診療連携病院にて周術期等口腔機能管理を算定した小児がん患者について実態調査を行い,以下の知見を得た。
1.患者数は2016年から2019年までの4年間で41名(女児22名,男児19名)であった。最も多かった原疾患は,急性リンパ性白血病(20名)であった。
2.最も頻繁に観察された口腔内の有害事象は口腔粘膜炎で,化学療法や放射線療法,造血幹細胞移植などの治療時に観察された。他には齲蝕,萌出性歯肉炎,口腔乾燥などが観察された。
3.Hellmanの歯齢ⅢB期では有害事象が最も多く11事象観察された。その内訳は,口腔粘膜炎,齲蝕,萌出性歯肉炎などさまざまであった。小児の成長発育に伴い,小児がん患者の口腔内に生じる有害事象も変化することが明らかになった。
4.小児がん患者の周術期等口腔機能管理では,小児の成長発育を念頭に継続的な歯科介入を行うことが重要であると示唆された。