本研究は,小児の口腔機能に関わる実態を把握し,日常生活から容易に判断できる口呼吸の早期発見に繋がる客観的な指標づくりを目的に,横浜市内の保育園1か所,幼稚園1か所における3~6歳児の保護者355名を対象に質問紙調査を実施した。
質問紙内の「日中よく口を開けている」「口を開けて寝ることがある」「日中鼻がつまりやすい」および「睡眠時鼻がつまりやすい」の4つの項目の回答の組合せにより,口呼吸の定義を6つに設定した。定義ごとに口呼吸群と鼻呼吸群の2群に分類し,全66項目の質問に対して口呼吸群と鼻呼吸群の2群間で比較した結果,6つの定義すべてにおいて有意差が認められた項目が7つ明らかになった。そのなかで,口呼吸の習慣化を示唆する所見であり,かつ口呼吸の定義の設定に用いた項目である「日中よく口を開けている」「口を開けて寝ることがある」の2項目を除いた5項目は,以下の通りである。
1.鼻の孔によく手を触れる。
2.話しかけると聞き返すことがよくある。
3.口がよく乾く。
4.唇にしまりがない。
5.食べ物を食べこぼす。
これらの項目は「口呼吸の早期発見に繋がる新たな5徴候」と推察され,保護者や幼稚園教諭,保育士に周知することで,早期発見・対応に繫がると考えられる。