小児歯科学雑誌
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原著
乳歯列期小児の齲蝕と血清グルコースとの関係
奥 猛志阿多 美幸石倉 万里衣大内山 晶子
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キーワード: 小児齲蝕, 血糖値, 乳歯列
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2020 年 58 巻 3 号 p. 77-81

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抄録

乳歯列期小児の88名(男児61名,女児27名),平均年齢3歳11か月(2~6歳)に対して,血清グルコースと齲蝕罹患状況との関係について検討し,以下の結論を得た。

1.d歯率(未処置齲歯数/(萌出歯数+m歯数)×100%)が50%以下の群の血清グルコース値は平均101.5 mg/dLであったのに対して,d歯率が50%を超える群の血清グルコース値は平均110.4 mg/dLと高値であったが両群間に有意差は認めなかった。

2.C3歯数0本群の血清グルコース値は平均92.8 mg/dLであったのに対して,C3歯数1~4本群の血清グルコース値は平均108.0 mg/dLと有意(p<0.05:t検定)に高かった。C3歯数5本以上群の血清グルコース値は平均112.5 mg/dLとなり,C3歯数0本群と比較してさらに大きな有意差(p<0.01:t検定)を認めた。

これらの結果から,重症齲蝕小児の血清グルコース値は軽症者と比較して高い傾向を認め,重症齲蝕と糖代謝とは関連している可能性が考えられた。

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© 2020 日本小児歯科学会
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