2020 年 58 巻 3 号 p. 99-106
第三次医療機関小児歯科における経年的な齲蝕有病児の実態を把握するために,2008年度,2013年度および2018年度に齲蝕を主訴に当院小児歯科(以下:当科)へ初診で来院した未就学齲蝕有病児を調査し,以下のような結果を得た。
1.各年度の当科の全初診患児に占める未就学齲蝕有病児の割合が経年的に増加していた。
2.2008年度では3歳が最多であったが,2013年度および2018年度では5歳が多く,経年的に初診時年齢の増齢傾向を示した。
3.2008年度と比較し,2013年度および2018年度で上顎乳前歯部により高い齲蝕罹患率を示した。
4.「乳歯齲蝕の重症度分類」を用いて分類した結果,2008年度ではⅠ度が最も多かったが,2013年度および2018年度ではⅢ度が多く,2008年度から2013年度にかけて乳歯齲蝕の重症度が特に増悪していた。
5.居住地別に比較すると,当院が位置する広島市南区の割合が経年的に減少する一方で広島市以外の県内市町村の割合が増加するなど,遠方から多くの患児が来院していた。
6.紹介元は全年度で歯科開業医が最多であり,その割合は増加傾向にあった。