小児歯科学雑誌
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原著
本学附属病院赤ちゃん歯科学級における母親の意識調査
川島 翼藤岡 万里井上 美津子草間 里織船津 敬弘
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2020 年 58 巻 3 号 p. 107-115

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抄録

日常の小児歯科臨床において,保護者から乳児の口腔に関わる相談を受けることが多々ある。しかし,小児歯科医が出産後間もない母親のわが子への口腔健康に対する意識にふれることは少ない。母親の育児や子供の口腔に関する不安を取り除き,子育て支援の一助とすることを目的として,われわれは本学附属病院にて実施している赤ちゃん歯科学級を受講した母親を対象に,乳児の口腔における心配事や現在の母親の関心事に関する調査を行った。平成28年度と平成29年度に実施したアンケート調査より以下の結果を得た。

1.赤ちゃん歯科学級を受講した母親は「35~39歳」が33.8%と最も多く,35歳以上の母親が全体の半数以上を占めた。子供は「第1子」が87.1%と大半を占め,月齢は「生後6か月」が38.1%と最も多かった。子供の性別は男女ともほぼ同人数であった。

2.妊婦歯科健診の受診率は99.3%で,ほとんどが本学附属病院で受診していた。

3.現在の母親の心配事・関心事では,「離乳食」についての関心が最も高かった。

4.子供の口腔内の心配事・関心事としては,「むし歯」が最も高い割合を示していた。

われわれ小児歯科医は,子供の齲蝕治療や予防だけに留まらず,子供の口腔の発育・発達についての相談に対しても助言を行うことで,養育者の育児不安の軽減に寄与し,子育て支援の一助となるように努めるべきである。

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© 2020 日本小児歯科学会
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