2021 年 59 巻 1 号 p. 34-40
近年,小児の顎関節症が増加傾向であるとの報告がなされている。しかし,経時的かつ定量的に評価している報告は少ない。そこで今回,著者らは左側顎関節部の関節音,左側咬筋疼痛ならびに開口障害を主訴に来院した11歳女児に対し,初診時,6か月,12か月,36か月にMRI検査を行い,経時的に経過観察し,下顎頭前機能面面積および下顎窩面積の定量評価を行った。右側下顎頭には骨変形が認められず,経時的に下顎頭前機能面面積の増加が認められ,左側下顎頭では骨変形が生じており下顎頭前機能面面積の増加は認められなかった。また,開口練習と歯列接触癖(Tooth Contact Habit:TCH)の是正を行ったところ,良好な経過を得られたため報告する。