小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
症例報告
金管楽器マウスピースによる金属アレルギーが原因と考えられた口腔粘膜炎の1例
黒厚子 璃佳細木 真紀杉本 明日菜岩本 勉
著者情報
ジャーナル 認証あり

2021 年 59 巻 1 号 p. 26-33

詳細
抄録

金属アレルギーとは金属が皮膚や粘膜に接触し,その部位から溶出した金属イオンが体内に取り込まれることで起きるアレルギー反応である。今回われわれは,楽器のチューバのマウスピースによる金属アレルギーが原因と疑われる口腔粘膜炎を発症した1例を経験したのでその概要を報告する。

患児は10歳8か月女児。小学校の金管バンドクラブに所属して以降,歯肉の腫脹や口腔内の炎症所見を認めたため,近医にてパッチテストや血液検査を施行されるも金属アレルギーおよび自己免疫疾患は否定された。当科初診時には,唇頰側歯肉と頰粘膜に軽度自発痛ならびに発赤を伴う瀰漫性腫脹を認めた。歯肉は易出血性で,増殖し仮性ポケットが形成されていた。歯周病原細菌検査にて歯周病原細菌は基準値以下であった。歯肉増殖部位の病理組織検査は,歯肉炎の診断であり口腔衛生指導を徹底したが,症状の改善はみられなかった。ところが,楽器(チューバ)とマウスピースの変更を契機に口腔内の炎症が劇的に改善し,その1か月後には,健全な口腔粘膜の状態を呈していた。新旧のマウスピースを比較したところ,旧マウスピースではめっきが剥がれている箇所が多数みられた。金属組成分析ならびに金属パッチテスト検査を行ったところ,Crにアレルギーがある可能性が高いことが明らかとなり,金属アレルギーが原因で引き起こされた口腔粘膜炎と診断した。口腔内はマウスピースの変更以降,良好な状態が継続している。

著者関連情報
© 2021 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top