小児歯科学雑誌
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原著
学童期初期における骨および歯の成熟の評価と暦年齢,骨年齢,歯年齢の関連性に関する研究
加藤 まゆこ前田 彩子西見 光彦岩寺 環司岩寺 信喜吉原 俊博八若 保孝
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2021 年 59 巻 2 号 p. 71-79

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抄録

暦年齢は出生時からの時間の経過を表しており,発育の度合いが異なる個人を時間経過として一律に評価するものである。骨年齢や歯年齢は生理的年齢と呼ばれ,各臓器の発育度合いから個人の成長の段階を示すものである。暦年齢,骨年齢,歯年齢の関係性を明らかにすることにより個人の発育のより正確な予測が可能と考えられる。そこで本研究では学童期初期(6歳から8歳)の小児を対象に,骨種,歯種ごとに発育段階を点数化し,総計をそれぞれ骨の成熟度,歯の成熟度として,その増加量を観察し,暦年齢,骨年齢,歯年齢間の関係性を検討した。

調査の結果,いずれの骨種も増加量が異なり,女児のほうが男児より骨の成熟度が進んでおり,男女とも尺骨の増加量が最も大きい傾向がみられた。歯種別では,いずれの歯種も増加量が異なり,女児のほうが男児より成熟度が進んでいた。また,男女とも7歳から8歳にかけて下顎第二大臼歯の成熟度が進んでいた。さらに,暦年齢と骨年齢間,暦年齢と歯年齢間,骨年齢と歯年齢間には相関関係がみられた。以上のことから歯の成熟の観察をすることで,個人の成長度合いを詳細に予測することができる可能性が示唆された。

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© 2021 日本小児歯科学会
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