体外循環技術
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研究論文
体外循環に用いるローラポンプの圧閉度の定量化に向けた研究
― 安定運転に及ぼすオクルージョンの制御因子 ―
加藤 正太草間 良昌阿部 薫芝本 隆
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2019 年 46 巻 4 号 p. 382-387

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抄録

我が国では、安全性および生体適合性を優先した開心術に、遠心ポンプが選択される。一方、諸外国では、操作性や経済性の面からローラポンプを使用した開心術が増加している。本研究は、ローラポンプの長時間使用による圧閉度の円周振れに注目し、灌流温度(perfusion temperature:Pt)を圧閉度の規定因子として着目した。

圧閉度の円周振れの顕現を評価するため、ローラ径の異なる3種類のポンプを用いて、Ptおよび電気抵抗値(resistance sigma:Rz)、圧力値を測定した。また、これらのポンプをJIS-T1603に基づき順次同一条件に設定して、時間経過に伴う圧閉度の変化を観察した。それぞれ、ポンプのPtおよびRzは30~60分毎に上下動を繰り返し、時間経過によって圧閉度が変化した。また、圧力値は30分毎に上昇し、その後測定不能となった。

この現象は、Ptの変化が血液粘度に影響を与え擬似血液温度の上昇により、圧閉度の圧力変化によるRzの変化として現れたと推測できる。したがって、灌流温度Ptを監視することは、ローラポンプの圧閉度の適切な制御へとつながり、より生理的な体外循環を実施するのに欠かせない要素と考える。

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© 2019 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
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