小児歯科学雑誌
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症例報告
顔面3次元画像から口すぼめを定量化した10歳男児の1例
橋口 大輔佐橋 喜志夫鷲野 嘉映齊藤 桂子森川 和政
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2021 年 59 巻 3 号 p. 148-153

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抄録

口唇閉鎖時に活動する口輪筋は表情筋であり顔面皮膚に繋がる皮筋である。したがって,口すぼめ時の顔面皮膚から口輪筋の活動を定量的に評価できる可能性がある。そこで,著者らは口すぼめ時の顔面3次元写真撮影という新しい手法を考案した。これを用いて非侵襲で非接触な口唇閉鎖の検査方法を開発する目的で10歳男児の1例について検討した。撮影にはハンディタイプの3次元画像撮影装置VECTRA H1(キャンフィールド,米国)を用いた。安静時と口すぼめ時にそれぞれ左側45度,正面,右側45度の3方向から連続して撮影した。これらはVECTRA VAM ver.6.5.4(キャンフィールド,米国)を用いて1つの顔面3次元画像に合成し重ね合わせて解析した。顔面皮膚に広く分布し口輪筋に繋がる表情筋の口すぼめ時の活動も調べるため顔面領域と口唇領域の2つの選択領域を抽出した。それぞれ安静時と口すぼめ時の顔面3次元画像の表面積の差,画像間の距離と画像間の凸と凹の体積の和を算出し比較検討した。その結果,顔面領域では表面積の差が0.6 mm2,画像間の距離が-0.1 mm,体積の和が1.5 cm3であった。口唇領域では表面積の差が3.3 mm2,画像間の距離が2.3 mm,体積の和が3.4 cm3であった。いずれも口唇領域が顔面領域より大きい値を示した。以上,顔面3次元画像から口唇領域で優位な口輪筋の活動による口すぼめを定量化できた。

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© 2021 日本小児歯科学会
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