小児歯科学雑誌
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症例報告
下顎小臼歯部にみられた両側性過剰歯の1例
榊原 さや夏倉重 圭史吉本 裕代野呂 大輔蓑輪 映里佳加藤 大生市村 彰啓金久保 千晶廣瀬 弥奈齊藤 正人
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キーワード: 過剰歯, 同形型, CT 画像, 両側性
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2024 年 62 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

下顎第一・第二小臼歯根尖部に両側性過剰歯を計4 歯認めた症例を経験したので報告する。

患者は,初診時年齢14歳5か月の男子,近医より過剰歯を指摘され本院を受診となる。口腔内所見として,萌出している第二小臼歯は,第一乳臼歯に類似した形態異常を呈していた。CT画像所見から,下顎第一・第二小臼歯の根吸収はなく,各歯の根尖部舌側に過剰歯と思われる歯胚形成を計4歯認めた。CT画像から過剰歯と思われる歯胚は,下顎第一・第二小臼歯の歯冠形態と類似していた。18歳3か月に全身麻酔下にて過剰歯を抜去したところ過剰歯の歯冠形態は,一般的な下顎第一・第二小臼歯形態と類似していた。

多数の過剰歯を認める症例は稀である。複数歯の過剰歯が生じる症例は,下顎の小臼歯部に多くみられ,両側性に生じやすい。小臼歯部の過剰歯は発生時期が12~14 歳頃とされており,本症例においても,14歳時に発見され経過観察を行っていた。口腔内所見として,萌出している下顎第二小臼歯には形態異常を認め,下顎第一乳臼歯に類似していた。下顎第一乳臼歯に類似した歯冠の形態異常は,下顎第二小臼歯に両側性でみられることが多いとされている。

本症例では,下顎第二小臼歯が下顎第一乳臼歯に類似した形態異常を認め,過剰歯の診断に苦慮した。過剰歯は偶然に発見されることが多い。過剰歯の診断には,発生過程および特徴の理解,CT撮像による三次元的観察を行うことで,確実な診断が行えることが示唆された。

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