2024 年 62 巻 2 号 p. 53-58
外胚葉異形成症は先天的に外胚葉組織に形成異常を認める疾患の総称であり,代表的な口腔内の症状として,歯の先天欠如,形態異常が挙げられる。今回われわれは,外胚葉異形成症の10歳男児において,腫脹の原因発見および治療計画の立案において,CBCTが有効であった1例を経験したので報告する。
10歳1か月時,上顎左側中切歯根尖付近に瘻孔を認め,その治療を希望された。パノラマエックス線画像から未萌出の上顎左側犬歯による乳犬歯の歯根吸収の可能性を考えた。側切歯が先天性欠如で,乳犬歯の歯根長が十分であった。そのため保存を試みる必要があると考え,CBCTを撮影した。歯根吸収は認めなかったが,上顎左側中切歯に根尖病巣,切縁部に至る歯髄腔の突出を2か所認めた。切縁部からの露髄も確認でき,歯髄形態を考慮した感染根管治療を行った。症状改善後,アペキシフィケーションと歯冠修復を行った。
CBCTにより,複雑な歯髄形態を把握することができた。適切な感染根管治療を実施できたため,根尖病巣が消退したと考えられる。今回萌出により咬合接触が得られるようになった時期と瘻孔の出現時期が近いことから,菲薄化していたエナメル質が咬合で剥離したことによって,露髄し感染を起こしたと考えられた。前歯部形態不良を認める外胚葉異形成症患者では,歯の形態異常に伴って歯髄形態の異常が認められる場合がある。そのため,将来的に咬合接触が予想される突出部を有する場合は,口腔内所見,デンタルエックス線画像,パノラマエックス線画像に加え,歯科用コーンビームCTを撮影し,その歯髄形態に異常がないかを確認することが有用であると示唆された。