小児歯科学雑誌
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1 歳6 カ月児歯科健診に関する研究
第1 報: 1 歳6 カ月児の口腔内状態と食習慣について
井上 美津子臼田 祐子鳴島 和子向井 美恵鈴木 康生佐々 竜二
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1981 年 19 巻 1 号 p. 165-177

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抄録

1歳6カ月児歯科健診において,保健指導をより効果的なものにするため,1歳6カ月児の口腔内状態と食習慣を中心とした生活習慣について調査を行ない,それらの関連について検討した。
対象は保健所を訪れた1歳6カ月児531名である。乳歯の萌出状態では第2乳臼歯以外のすべての乳歯が萌出している者が最も多く,1人平均萌出歯数は15.1歯であった。齲蝕罹患者率は15.1%,1人平均齲歯数は0.47歯で,上顎前歯部のみに齲蝕のある者が多かった。
カリオスタットによる齲蝕活動性は比較的活性の低い者が多く,齲蝕罹患と高度に相関を示した。歯垢の付着状態は萌出状態により差がみられたが,齲蝕罹患,齲蝕活動性とは関連が認められなかった。
歯みがき習慣に関しては,習慣化はまだ充分なされていなかったが,歯みがきの実行状況と歯垢付着状態との間には関連がみられた。
哺乳習慣の継続は46.7%にみられ,哺乳ビンの就寝時使用者が大半を占めていた。哺乳習慣の継続者は齲蝕罹患傾向が高かった。
間食摂取の規律性,回数,内容はともに齲蝕罹患,齲蝕活動性と関連がみられ,特に甘味食品を規律性なく摂取している者は高い齲館罹患傾向を示した。飲料摂取の規律性,回数と齲蝕罹患には明らかな関連はみられなかったが,甘味飲料の摂取頻度の多い者には齲蝕罹患が高かった。就寝前飲食習慣では飲料摂取者が多く,そのうち70%近くが哺乳習慣の継続者であった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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