小児歯科学雑誌
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開業歯科医院における全身麻酔下小児歯科治療の実際と保護者の評価
星野 健三霞 健後藤 敏義植松 宏
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1981 年 19 巻 2 号 p. 311-322

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抄録

私達は1976年4月から東京都渋谷区の星野歯科医院に於て,歯科治療に非協力な小児を対象として全身麻酔下小児歯科治療を行ってきた。1981年3月までの5年間に151例に達したので,その経験を基に,私達の行っている全身麻酔下小児歯科治療を紹介した。併せて開業歯科医院における全身麻酔下小児歯科治療に対する理解度とその評価についてアンケート調査を行ったので,その結果も報告した。
患児は1歳から13歳にわたり,88.1%は歯科治療恐怖症患者で,11.9%は軽度の心身障害児であった。麻酔は全例,経鼻吹送法で維持した。1症例当り平均1時間23分をかけて13.7歯の治療を行った。
治療の終った患児の保護者136名にアンケート用紙を郵送し120通を回収した。アンケート調査から以下の結果を得た。
(1)当院を訪れた患者のほとんどは,既に何カ所かの歯科医院を受診したが,治療ができず紹介されて来たものであった。
(2)保護者の大半は全身麻酔を利用した歯科治療があることを知らなかった。
(3)この方法を選んだ主な理由は,強制的な治療を避けたい,他の方法ではできない,短期間に治療が終る等であった。
(4)治療が終って保護者は,全身麻酔を利用した方法で治療してよかった。この方法は他の人にも勧められると評価した。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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